COLUMNコラム
軸受の形式と特徴
深みぞ玉軸受
内輪と外輪の軌道みぞの断面の形が円孤で、その半径が玉の半径より大きくできている玉軸受であり、最も一般的な転がり軸受である。
軌道みぞが深いので、ラジアル荷重を受ける時には、玉はみぞの底で内・外輪と接触し、アキシャル荷重を受ける時は、玉はみぞの縁(起動の肩)近くで接触して荷重を支える。又ラジアル荷重とアキシャル荷重が同時に加わっても、この一つの軸受で受けることができる便利な軸受である。
この軸受には、あらかじめグリースを内部に封入した密封玉軸受があり、使用ユーザが潤滑と密封を考えなくても良いようにしてある。シール形式には、非接触形の金属性シールド板・ゴム製シール板、ならびに接触形のゴム製シール板を持った軸受がある。
※スラスト荷重は、現在アキシャル荷重という。
摩擦トルク(抵抗)が小さく、高速回転する箇所や低騒音、低振動が要求される用途に適している。
保持器は、一般に鋼鈑の打抜き(プレス)保持器を使用。
非接触金属シールド ⇒ 記号 ZZ
非金属ゴムシール ⇒ 記号はメーカーにより異なる
※上記図示:左側断面は削除。
アンギュラ玉軸受
この軸受は、ラジアル荷重と一方向のアキシャル荷重を負荷する事ができる。玉と内輪・外輪とは15°,25°,30° 又、40°の接触角を持っている。
※図1
アンギュラ玉軸受を2個組合せて1組とし、これを1個の軸受とみなしたものを組合せアンギュラ玉軸受と呼ぶ。
組合せ種類は、外輪正面側同士を接触させた正面組合せ(DF形)、外輪背面側同牛を接触させた(DB形)、同じ向きに並べた並列(DT形)組合せの三つの形式がある。
円筒ころ軸受
円筒状のころをもち、内輪と外輪の軌道も円筒状である軸受で、ころの直径と長さの比が1対1が一般的。
内輪または外輪のつばの有無によって、NU、N、NF(内輪、両つば、外輪片つば)、NJ、NUP、NH形の単列軸受とNN形(外輪つば無し)、NNU形(内輪つば無し)の複列がある。
いずれの形式も内輪と外輪は分離できる。
ころ、および軌道のみぞに、クラウニングが施されているが、取付け誤差等の”傾き”、オーバハング荷重の大小により、ころと軌道のみぞとの間の片当たり(エッジ応力)により、性能低下をおこすので、注意を要する。
円すいころ軸受
円すい台形のころが転動体として組み込まれており、内輪の大つばによって、ころは案内される。
ラジアル荷重と一方向のアキシャル荷重とを負荷する事ができ、その能力は大きい。
分離形であるために、内輪と外輪とを別々に取付けることができる。
自動調心ころ軸受
2列の軌道を持つ内輪と、軌道が球面の外輪との間に、転動体表面がたる形のころを組み込んだ軸受。
外輪軌道の曲率中心は、軸受中心と一致しているので、調心性がある。
ラジアル負荷能力が大きく、重荷重、衝撃荷重のかかる用途に、適している。
保持器には、鋼鈑打抜きタイプ、銅合金もみ抜きタイプが用いられる。
EA形、C形、CD形 ⇒ 例:鋼鈑打抜きタイプ記号
CA形 ⇒ 例:銅合金もみ抜きタイプ記号
スラスト玉軸受
座金状の2個の軌道輪に、玉の半径よりやや大きい円弧みぞを付け、保持器に玉を組込んだものを、はさんだ構造。
回転軸に取付ける方の軌道輪を内輪と呼び、ハウジングに取付ける方の軌道輪輪を外輪と呼ぶ。
内輪と外輪とは、非常によく似た形をしているが、外輪の内径寸法は内輪内径寸法よりやや大きく作られているので、とり違えないように注意する。
その他の軸受け
複列アンギュラ玉軸受
2個の単列アンギュラ玉軸受を背面組み合せにして、内輪と外輪を一体にした構造の軸受である。
組合せ軸受より軸受幅が小さいので、軸受空間は節約可。
自動調心玉軸受
内輪は、深みぞ玉軸受と同じ形の軌道みぞ2列をもち、外輪軌道は、軸受の中心位置に曲率中心をもつ球面状。
軸のたわみが大きく、内輪が傾く場合に使用すると便利。
内輪をテーパ穴にし、取付け用アダプターによって円筒軸の任意の位置に軸受を固定する形式もある。
針状ころ(ニードル)軸受
ころの直径が小さく、長さが直径の3~10倍の細長いころを数多く組込んだ軸受で、円筒ころ軸受の一種。
この軸受には、外輪を薄い鋼鈑でプレス成形して作るシェル形形軸受と、一般軸受と同じ鋼材を削り出して作るソリッド形軸受、軌道輪を持たない、ケージ&ローラがある。
左:シェル形
中:ソリッド形
右:ケージ&ローラ
スラスト円筒ころ軸受
二つの座金状の平らな軌道輪の間に保持器に組込まれた円筒ころはさんだ構造の軸受です。
ころと軌道とは線接触をするため、重荷重、対衝撃、高剛性の用途に適している。
スラスト自動調心ころ軸受
外輪の軌道面が、回転軸の中心線上に曲率中心を持つ球面で、できているスラストころ軸受です。
自動調心性があります。
低速回転で使用され、大形軸受の使用が多い。